Showing posts with label 西澤徹夫. Show all posts
Showing posts with label 西澤徹夫. Show all posts

30 June, 2009

長坂常さんのトークショー

6/28 (SUN)
お昼、青山ブックセンターで行われた長坂常さんのトークショーに行ってきました。
長坂さんは先日も書いたけど衝撃的な問題作「奥沢の家」の作者。
ゲストに同級生の中山英之さんと西澤徹夫さんも。
このお二人のことはGA JAPANの連載で知り、それ以降興味を持って見ている若手の建築家。
西澤さんは青木事務所にいた頃に担当された青森美術館について僕が書いたブログの記事にコメントして頂いて勝手に親近感を感じたり。

トークショーは自分が考えていることややりたかったことをまとまらないながらも丁寧に言葉を選びながら話す長坂さんの言葉を中山さんが拾って西澤さんが例えを交えて翻訳するという図式。
あまりに言葉が出てこないので正直長坂さんが一人で臨んでたらブーイングが出てたのでは?って感じだったが二人がいたおかげで少なくともその場のキャラクターが際立ち逆に面白くなったような、そんな感じ。
建築家の方が人前で作品を語る時に「カッコいい」って言葉を用いることが新鮮だったし好感が持てた。

リノベーションと言ってしまうとありふれたものに聞こえてしまうけどスキーマの一連のリノベーション作品は壊しながら考えることによってのみ発生する細かな局面ごとの決定や取捨選択がいくつも行われている手垢のあとが完成した空間の写真を見ても感じられる。
中山さんの指摘で(レコードに例えた「A面:売れ線、わかりやすさ」に対し「B面:実験的、売れることを考えてない」)長坂さんはこれらの仕事をB面と捉えているけど、自分はドA面だと思う、と。
これは僕も全く同感、もう少し上の世代から見るとやっぱりB面なのかなとも思うけどこれを聴いた瞬間にA面と思って自然に受け入れ心奪われる感覚は自分達の世代のものだと思うし大切にしないと。
おそらく長坂さんは自分の感覚だけを頼りに出来上がったという過程があったからB面と捉えているんだろう、結果ではなくて。
最後にメモ、話に度々出てきた岡田利規さん、今度見てみよう。

今キヨシと考えている住宅もある種リノベーションと呼べるようなもので、まとまったらここでも話したいなと思っています。

夜はリカッぺの誕生日祝いに2年前の誕生日にも利用したAW Kitchenへ。
2年前は謎の胃痛であまり食べられなかったけど今日はたくさん食べて満足、とうもろこしのパスタはもっと食べたかったな。
以下写真。


18 September, 2007

青森県立美術館


3連休を利用して行ってきた念願の青森県立美術館
オープンは2006年の7月、建築は青木淳さん、VIはブルーマーク
あまりダラダラ説明をしたところで意味を為さないような気がしてしまう建築なので写真を中心に。


青木さんが敷地を見に来たとき近接する三内丸山遺跡を見学して、その迫力を美術館まで持ってきたいと考えたという。
地下階としてトレンチを掘り、でこぼこした空間を作る、その上にボリューム(建物)を置く、そうすることで隙間が出来、そこが美術館の展示室なり諸空間になる、という考え方。
これは有名な青木さんのコンペ時の初期イメージスケッチ。

青木さんの表現を借りて言うと「噛み合わせの悪い」様々な空間、が出来る。
よって外部にもこんなところが所々に。


どこで写真を撮っても画になります。


ヒトの身体にちょうどいいスケールから突然遥かにスケールアウトしてしまった空間に出会うと少し暴力的でやや戸惑いはあるが気持ちいい。
レンズがオートフォーカスでピントを合わすように、身体が必死で何かを手がかりに色んなものの大きさを測っているのがよく分かった。


インテリア、それ以外(または外部)の境界は思っていた以上にはっきりしていた。
ただ表情として人工照明があるか無いかの違いくらいしかそれを感じなかったのが印象的。
雪が降る冬に再訪したいものです。

僕が最近竣工した建築の中で見てみたかったもののベスト3には入っていた青森県立美術館。
期待通り素晴らしい建築でした。
で、結局何がしたかったのか?という疑問は僕には正直よく分からないけれど理解出来る部分はやはり多くあり、羨ましくも思った。
僕らの年代より2世代くらい上になるとこの建築を見てもあまりイイと思わないのではないだろうか?
それほど若い感覚、ある種冷めた感覚で作られた建築であるように思う。
大体どこの公共の美術館を見てもギンギンのディテールだったり、旦那芸とも呼べるようなデイテールだったり、あらゆるテクニックでディテール自体を消失させたり、大人っぽい。
それらに比べるとこれほど若々しく、幼稚な美術館(大規模な建築)は今まで見たことがなかった。
(これは最大級の賛辞です。)
これぞ青木さんの懐の深さなのだろう。
もちろんディテールに手を抜いている訳ではなくむしろ凝りまくっている。
今日本のメーカーの既製品をアッセンブルして設計をすれば出来上がったものは自ずとシンプルでスッキリする、そういった需要が多くそれを目指しているから。
ここは手摺から階段、開口部や外部の仕上に至るまで既製品に依る箇所が少ない。
特にアーチ窓の開口部ディテール等は見た目にも精神的にも痛々しいくらい。
この何とも言えない雰囲気を生んだ裏側に、徹底したコントロールがあったことは容易に想像出来た、というより知っていた(笑)。
この美術館の設計担当者の西澤さん(元所員の方)の現場レポートをずっと読んでいたから。
(これは今でも見ることが出来るから是非。)
担当者の視点で設計から施工、竣工までをこれほど細かく詳しく綴られたものは無いんじゃないかな?僕は知らない。
書籍化希望です、そのくらい素晴らしいレポート。

設計者の青木さんの言葉が聞きたい方はこちらをどうぞ。
実はこれ、昨年の7/23に参加した青山ブックセンターでのトークショーのレポートです。

滅多に行くことのない地方の建築の中でもう1度ここに来るだろうな、と思わせてくれる数少ない貴重な美術館でした。

最後に小噺、、、意気揚々と買ったばかりのカメラを持って行ったのに電池を入れ忘れてたぜメーン!
(サブのコンデジ持ってて良かった・・・。)