青森県立美術館
3連休を利用して行ってきた念願の青森県立美術館。
オープンは2006年の7月、建築は青木淳さん、VIはブルーマーク。
あまりダラダラ説明をしたところで意味を為さないような気がしてしまう建築なので写真を中心に。
青木さんが敷地を見に来たとき近接する三内丸山遺跡を見学して、その迫力を美術館まで持ってきたいと考えたという。
地下階としてトレンチを掘り、でこぼこした空間を作る、その上にボリューム(建物)を置く、そうすることで隙間が出来、そこが美術館の展示室なり諸空間になる、という考え方。
これは有名な青木さんのコンペ時の初期イメージスケッチ。
青木さんの表現を借りて言うと「噛み合わせの悪い」様々な空間、が出来る。
よって外部にもこんなところが所々に。
どこで写真を撮っても画になります。
ヒトの身体にちょうどいいスケールから突然遥かにスケールアウトしてしまった空間に出会うと少し暴力的でやや戸惑いはあるが気持ちいい。
レンズがオートフォーカスでピントを合わすように、身体が必死で何かを手がかりに色んなものの大きさを測っているのがよく分かった。
インテリア、それ以外(または外部)の境界は思っていた以上にはっきりしていた。
ただ表情として人工照明があるか無いかの違いくらいしかそれを感じなかったのが印象的。
雪が降る冬に再訪したいものです。
僕が最近竣工した建築の中で見てみたかったもののベスト3には入っていた青森県立美術館。
期待通り素晴らしい建築でした。
で、結局何がしたかったのか?という疑問は僕には正直よく分からないけれど理解出来る部分はやはり多くあり、羨ましくも思った。
僕らの年代より2世代くらい上になるとこの建築を見てもあまりイイと思わないのではないだろうか?
それほど若い感覚、ある種冷めた感覚で作られた建築であるように思う。
大体どこの公共の美術館を見てもギンギンのディテールだったり、旦那芸とも呼べるようなデイテールだったり、あらゆるテクニックでディテール自体を消失させたり、大人っぽい。
それらに比べるとこれほど若々しく、幼稚な美術館(大規模な建築)は今まで見たことがなかった。
(これは最大級の賛辞です。)
これぞ青木さんの懐の深さなのだろう。
もちろんディテールに手を抜いている訳ではなくむしろ凝りまくっている。
今日本のメーカーの既製品をアッセンブルして設計をすれば出来上がったものは自ずとシンプルでスッキリする、そういった需要が多くそれを目指しているから。
ここは手摺から階段、開口部や外部の仕上に至るまで既製品に依る箇所が少ない。
特にアーチ窓の開口部ディテール等は見た目にも精神的にも痛々しいくらい。
この何とも言えない雰囲気を生んだ裏側に、徹底したコントロールがあったことは容易に想像出来た、というより知っていた(笑)。
この美術館の設計担当者の西澤さん(元所員の方)の現場レポートをずっと読んでいたから。
(これは今でも見ることが出来るから是非。)
担当者の視点で設計から施工、竣工までをこれほど細かく詳しく綴られたものは無いんじゃないかな?僕は知らない。
書籍化希望です、そのくらい素晴らしいレポート。
設計者の青木さんの言葉が聞きたい方はこちらをどうぞ。
実はこれ、昨年の7/23に参加した青山ブックセンターでのトークショーのレポートです。
滅多に行くことのない地方の建築の中でもう1度ここに来るだろうな、と思わせてくれる数少ない貴重な美術館でした。
最後に小噺、、、意気揚々と買ったばかりのカメラを持って行ったのに電池を入れ忘れてたぜメーン!
(サブのコンデジ持ってて良かった・・・。)