04 October, 2006

Takashi Murakami


先週の話になりますが、村上隆「芸術起業論」、読みました。
この本、売れに売れているみたいで発売当初はなかなかどこの本屋にも置いてませんでした。
今や日本が世界に誇る、世界でも有数の売れっ子アーティストが著した本なのだから当然と言えば当然か。
村上隆と言えば誰でも見たことあるのはルイ・ヴィトンとのコラボレーション六本木ヒルズのキャラクターだろう。
愛嬌のある可愛いキャラクターとは裏腹に彼の姿勢はド直球過ぎてシニカルに見える。
正直これほどまで精神論が書かれているとは想像していなかった。
彼が日本人として欧米に通用するために生み出した方法論や作品を制作する過程は彼独自のものであるし、大成功していると言える。
その大きな自負もあるのだろう、終始彼の主観で書かれていて少し疲れるが全体を通して面白かった。
(ピカソやウォーホールは天才じゃなくてマティスこそ天才、というのはよく分からない、みんな天才じゃないの?)
芸術をやり続ける目的、目標、プライオリティがとても明確でブレない。
彼とは違うところに目的を置いて活動する芸術家を否定する気はさらさら無いが、彼が強くそれを押し出しているからこそ読める内容であり、読む意味がある本であると思う。
細かい内容をここに書いてもあまり意味が無いので書かないけど、芸術においてのプライオリティは「おカネ」だそうだ。
それだけ聞くと誤解も生じるし、同意できないヒトもたくさんいるだろうから一度読んでみてください。
共感できるかどうかは別として、あまり考えたことの無い芸術の見方が出来ると思います。

彼が欧米の価値基準の中で日本の芸術を文脈の中に位置づけるため行った「スーパーフラット展 / 2000」や、自らの作品を複数名で制作するための会社設立、アーティストのマネージメント、展覧会のキュレーション、アートフリーマーケットGEISAIの主催など多岐にわたる活動はもはや僕らがイメージする従来のアーティストの枠を超えている。
僕が感じたのはモノを作る、という職業を持つヒトが出来ること、やるべきことの境界が溶け合いながら広がりつつあるということ。
最終的に出来上がるものに絵画、彫刻、音楽、建築、プロダクトなど違いはあるが、ただやみくもに作ってるだけではヤバいなという自覚は持っていたいな、と。
曖昧で便利な”アーティスト”って言葉をいつまでも崇拝していると取り残されそうだ、と思った。

*オマケ
僕の部屋にも村上作品が居座ってます。

2 comments:

Anonymous said...

貸してや 山下

naoyafujii said...

りょうかい。