01 September, 2006

Junya Ishigami

8/31 (THU)

事務所を早く出て品川インターシティ内にある大林組本社へ。
TN Probeの主催・企画で行われる石上純也講演会を聴くために。
会場内は様々な年齢層の聴講者が満員で埋め尽くしており、氏への注目の度合いが伺えた。


この石上純也というヒト。
妹島さんのところに在籍中から一部では既に有名で数々の面白いプロジェクトを発表していた。
今回の講演会はそのプロジェクトのコンセプト紹介を中心に(驚くべきことに建築の実作はまだ無い)、五十嵐太郎氏をモデレーターに迎え進められた。
詳細をここに書いても仕方ないので書きませんが、感想としてはどのプロジェクトも面白い。
通常の建築家の講演会に参加した後には感じたことのない敗北感に苛まれた。
この講演会のレポートなどでは建築関係者が難しい言葉を並べて感想を述べるんだろうけど、今回は面白い、興味を持ったというのが僕の最も素直な感想だと思う。
たぶん原始人や子供が見ても面白いと感じられるのではないか。
建築の原体験としてこの石上純也に出会うことができる少年がいたとするなら羨ましいとさえ思えた。

作品を通じて色んなものの 関係が変化したり、溶け合ったり、曖昧になったり、ばっさり切り取られたり、領域をひとつ飛び越えた境界線への注目が伺えた。
思考法として興味を持ったのは「ループ」という言葉を用いて説明されていたこと。
(スタディしていくうちにスタートを感じさせず、ゴールを決める確定要素もない。)
その思考が最も顕われていた作品は、現在進行中の「神奈川工科大学工房」。
様々なサイズ(長さ、厚みが違う)のフラットバーで屋根を支えたこの建築は、フラットバーの密度や、向きなどにより領域、目的をアフォードしている。
(ただ様々な、と言っても想像以上の半端ない数のフラットバー、プランのスタディが通常のCADでは思考とヴィジュアルが上手くシンクロしないのでプログラマーと協同して新しいソフトまで作っている!)
五十嵐氏も質問していたけど、第3者的視点で見る限り、スタートもゴールも分からない。
たぶんこの建築が実際に建ち上がった際はその様相に驚くことになるんだろう。

他には彼を一躍トップランナーへと押し上げた「レストランのためのテーブル」、その流れからの「キリンアートプロジェクト」、これらは誰が見ても単純に面白いと思えるのでは。



よくアートと建築の領域、境界線を行き来する、とかなんとか言われて、とても華やかな印象をもってしまうけど、見習わなければいけないことは、アイデア(思いつき)の段階からすぐに何らかの形にまで落とし込むパワーとスピードなのではないかと思った。

少し前の話になるけど、僕自身、彼と会ってお話させて頂いたことがある。
05年のミラノサローネ「LEXUS」展を訪れた時。
会場構成と「low chair」、「round table」という家具を発表していた石上さんがそこにいて少しだけ話すことが出来た。
物腰の柔らかさとは裏腹に目の鋭さが印象的で、少し熱のこもった説明をしてくれたいいヒトでした。
(この時の説明が今回のスライドを交えたレクチャーによりやっと理解できた。これもまた素晴らしい作品。)

全く関係ないけど最後にコレ
今までのiPOD関連のオーディオで一番いい(笑)。

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